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2008年7月13日 (日)

自給という言葉で考えること

 金曜日に、講義をひとつさせていただきました。すでに一線で仕事をされていらっしゃる方ばかりですが、将来国際協力の場でも活躍したいと考えている方を対象におこなっている、ある省庁内での研修での講義でした。

 講義の冒頭で、「もし、今日職を失ったらどうする?」「自分自身の自給率はどのくらい?」という質問をさせてもらったところ、3分の一くらいの方が、配偶者の実家から米を送ってもらっているので、米に関しえは100%。とこたえていらっしゃいました。

 国の食料自給率というのは、カロリーベースで、流通されているものを対象にしているようで、去年の沖縄での国際協力フェスティベルの準備でも感じたことですが、こうした数字には、自給自足の部分はカウントされていないのではないかと思います。(数字になってないですしね。)

 国の食料自給率というのは、あくまでも流通~市場~政策の話であって、それがどんなに高くでも、自分が食べるという地点まで話がさがってこないことには、いつまでたっても無関係なわけです。

 また、自給というものを、自らが作るという視点だけで話をすると、畑や庭のない人、ベランダ栽培が出来ない人は、自給ができないことになる。自給の概念って何だろう?といつも考えてしまいます。
 
 自分が食料を作るという行為だけでなく、人脈・地脈を使って、食料が確保される、という状況を自給といってもいいのではないかなと、思ってみました。

 それは、ジンバブウェを見ていると、よけいにそう思います。というのも、まず、

Pa170241   ジンバブウェでは、都市でも、菜園がさかんである。 →→→→ そうなんです。アップタウンの住宅でも、庭に果物の木がたくさんなっているし(写真)、ダウンタウンに行けば、いわゆる団地の空き地のようなところがありますよね?あと、前庭。家の周囲のあらゆるところがところせませいとメイズやトマト、玉ねぎやあさつきのような細いねぎ(春ねぎと彼らは呼びます)がなっている。時には、交差点の道路と道路の間の細い空き地に誰かが作ったメイズがあったりもします。

 同時に、都会といえども、田舎との密接な関係は、個人差があり、主食はほとんど仕送りしてもらっているという家庭も少なくありません。

 もちろん、人口が増えるにしたがって、田舎との関係が希薄になる人も増え、そうした関係がない人は多数います。ジンバブウェでは、故郷のことをよぶ時、「ムシャ」という言葉を使うことがありますが、「家」を表わす「インバ」とは異なる意味で、どちらかというと、故郷とか実家という感覚で使われています。

 ムシャ、つまり農村や田舎の親族との関係が密接な人は、何かあるとムシャに帰りますし、特に、男性は、10月頃、雨季直前の時期に、種まき前の畑の開墾を手伝いに帰る人が多いです。

 インフレがある程度まででおさまっていた時期は、こうしたムシャからの仕送りで助かっている人がたくさんいました。ムシャがない人にとっての値上がりは、それこそ厳しいものなのですが、それでも、多くの人が、まだまだ大丈夫だったのは、田舎からの食べ物の仕送りが多いことがあったと思います。

 それが、ここまでインフレがひどくなってくると、バス代も異常に値上がり、誰もムシャに帰れない。ムシャから食べ物を送ってもらうこともできなくなるわけです。

 今年は、雨が多くて、収穫がだめだった地域と、雨が途中から降らなくなってやはりだめだった地域とが多いのですが、それでも、1年分の食料は確保している地域もあります。親は農村に住み、町に子どもを住まわせて学校に通わせている知り合いの家では、町にいる子どもが食料を買わずに済むよう(現金を使わなくて済むよう)、しょっちゅう食べ物を運んでいましたが、それも、今は、町に行く人も減ってきて、頼める人が少なくなってきたと困惑していました。

 スーパーの棚に食料がないのは、食料が存在しないのではなくて、国内で作られた食料が、ストックされたままだったり、国外で売られてしまうのが一番の理由ですが、(その証拠に、下町に行くと、闇で多くのものが手に入るわけです)、たとえ棚に並んだところで、かえる値段ではなくなっていることを考えると、「貧しい」とかいう感覚ではなく、「不条理」に思えてきます。

 すみません。AUなどの決議についてのブログ、まだでしたね。今日と明日、小田原に、「アジア農民交流センター」の合宿に行くので、ブログはお休みします。次は火曜日になります。(お)

 補足: ご存知の方もいらっしゃると思いますが、「しょくりょう」と書くとき、DADAでは、「食糧」ではなく、「食料」の字を使います。これは、「食糧」が穀物を表す漢字に対して、「食料」とは食べ物全般を表すもので、アフリカでは、主食が、穀類だけでなく、芋、豆、バナナと多様なため、「食料」とするほうが適しているという考え方に基づくものです。

 

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